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第二十九話 真実

Auteur: 春埜馨
last update Dernière mise à jour: 2025-08-21 21:38:04

 美しい月夜は儚げに消え去り、夢が覚めていくように二人の元に太陽が昇る。

 「蘭瑛ランイン、朝だ。起きろ」

 「…んーっ。ふぁい」

 蘭瑛は欠伸をしながら上体を起こす。

 永憐ヨンリェンから寝巻きを渡され、寝台から降りて衣をさっと着る。

 昨晩のことは途中までしか覚えておらず、途中から疲れ果てて眠ってしまったようだ。

 「昨日はすまない。加減を忘れてしまっていた…。身体は大丈夫か?」

 「…はい。大丈夫ですよ。私、途中で寝てしまったみたいですね。すみま…」

 「せん」と続けようとした刹那、永憐に力強く抱きしめられた。

 「嫌いにならないでくれ…」

 「…ど、どうしたんですか?急に。永憐様を嫌いになる訳ないでしょう」

 永憐は失うのが怖いといったような、どこか不安げな顔を蘭瑛に向けた。

 今日から仙術の強化稽古が始まり、しばらく会えなくなると聞かされたが、稽古が終わったらまた会う約束をし、優しく口づけを交わした。

 蘭瑛は隣の部屋に戻り、身支度を整えようと、寝巻きを脱いで鏡を見た。すると、首から下の上半身のありとあらゆる場所に、口づけの印を付けられていることに驚愕した。

 (あれから、たくさん口づけされたんだっけ…。どうしよう…この無数の跡。何で隠そう…)

 蘭瑛はとりあえず、葯箱から包帯を取り出し首元に巻き付けた。医局のオカマ医官に何か言われるかもしれないが、適当に遇らえば問題ない。蘭瑛は冷静さを保ちながら、医局へ向かった。

 医局に到着すると案の定、オカマ医官二人に詰め寄られる。

 「阿蘭アーラン、どうしたのよ?!その傷!ちょっと見せてみなさい」

 「一体何をやったのよ…」

 「だ、大丈夫だから!本当に直ぐ治る傷だし、二人の心配には及ばないから」

 ジャン医官とジン医官は、目を細めて蘭瑛を一瞥する。

 「阿蘭、また誰かに何かされたんじゃなくて?」

 「ったく、女の首元に傷を負わすなんて、どういう神経してんのよ!もし男だったら、男根の先にこれを差し込んでやるんだから!」

 金医官は、薬草を混ぜる先の尖った太い銅の棒を光らせた。これは、永憐にされたなんて口が裂けても言えないと、蘭瑛は思わず苦笑いを浮かべる。

 「本当に大丈夫だから。六華術を復活させる為に色々やっちゃって…。それで」

 「それで、六華術は復活したの?」

 江医官に
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